停電時の暑さ対策|災害・緊急時に体温を守る方法とグッズ

導入・問題提起

夏の停電はエアコン・扇風機が止まり、室温が急上昇して熱中症リスクが一気に高まります。特に高齢者・乳幼児・持病のある方は自律神経の調節が弱く、短時間で体温が危険域に達することもあります。本記事では、災害や計画停電に備えて「電源なしでも実行できる暑さ対策」を整理し、即応できる行動手順と非常用グッズをまとめます。

基礎知識・背景情報

停電時は冷却家電が使えず、換気扇やサーキュレーターも止まるため、室内の熱がこもりやすくなります。熱中症リスクを左右するのは「気温・湿度・気流」の3要素。停電環境では気流が断たれるため、熱放散(対流+蒸散)が低下→深部体温上昇→脱水の流れを断つ必要があります。重要なのは、(1)遮熱で熱流入を減らす、(2)蒸発冷却を補助する、(3)水分・電解質を確保する、の3点です。

主要コンテンツ1:電源なしでできる室内対策

具体的な項目1: 遮光・遮熱で熱流入を抑える

  • カーテンを閉じ、アルミシートやサンシェードを窓に仮留めし、日射を遮断する。
  • 東西面の直射を優先的に遮り、床に近い冷気を逃さないよう隙間をふさぐ。
  • ドア開閉を最小限にし、外気の熱気流入を抑える。

具体的な項目2: 低い位置での就座・就寝と放熱ポイントの冷却

  • 熱は上にたまるため、床面や1階に移動し、首・脇・鼠径部を保冷剤や濡れタオルで冷やす。
  • すのこマットやアルミシートで体と床の間に空間をつくり、接触面の熱こもりを減らす。
  • 保冷剤はタオルに包み、30分ごとに位置を変えて凍傷を防ぐ。

具体的な項目3: 風を作る簡易手段と換気

  • うちわ・ハンディファン(電池式)を併用し、濡れタオルを当てて蒸発冷却を促進。
  • 窓を2か所以上開けて風の通り道を確保。風上側を狭く、風下側を広く開けると気流が通りやすい。
  • 夜間は外気温が下がる時間に集中的に換気し、早朝の冷気を室内に取り込む。

主要コンテンツ2:補給・行動計画と非常用グッズ

具体的な項目4: 水分・電解質の確保と摂取タイミング

  • 常温保存できる経口補水液・塩タブレットを備蓄し、30-60分に1回目安で少量ずつ補給。
  • カフェインや糖分過多の飲料は利尿・血糖変動を招くため避ける。麦茶+塩分が無難。
  • 高齢者や子どもには「声かけ→一口ずつ」を徹底し、脱水サイン(口渇、尿量減)をチェック。

具体的な項目5: 行動計画と避難判断

  • 室温が31℃、湿度70%を超えたらリスク急上昇。温湿度計で確認し、我慢せず「冷房がある場所へ一時避難」する判断を優先。
  • 最寄りの避難所・公共施設・商業施設の稼働状況を事前に確認し、徒歩・自転車で行けるルートを想定しておく。
  • 薄い速乾ウェア+帽子で外出し、日陰ルートを選ぶ。保冷剤を保冷バッグに入れて携行。

具体的な項目6: 非常用グッズの準備リスト

  • 冷感系: 繰り返し使える保冷剤、冷却タオル、アルミシート、ネッククーラー(電池式)
  • 水分・衛生: 経口補水液、ペットボトル水、紙コップ、ウェットティッシュ
  • 計測・情報: 温湿度計、ラジオ、モバイルバッテリー(ソーラー/手回し併用)
  • 寝具・衣類: 速乾インナー、メッシュシーツ、すのこ、薄手タオルケット
  • その他: 簡易日よけ(カーテン・サンシェード)、養生テープ(仮固定用)

実践・応用情報

  • 高齢者・乳幼児の配慮: こまめな水分声かけ、涼しい部屋への移動を最優先。扇子やうちわで気流を作る際も直接強風を当てず、頸部を重点冷却。
  • ペットの同伴: ケージを床面に置き、凍らせたペットボトルをタオル巻きで設置。飲水とトイレを確保し、無理な外出は避ける。
  • 医療・服薬中の人: 利尿薬・抗コリン薬などは脱水リスクを上げるため、主治医の指示を確認。体調が崩れたら早めに医療機関や救急相談窓口(#7119など)へ連絡。
  • 夜間の睡眠対策: 寝具をメッシュ・すのこで底上げし、アイスノンをタオルで包んで頸部を冷却。枕元に水分を置き、夜間でも喉が渇いたらすぐ飲めるようにする。

まとめ・次のアクション

  • 停電時は「遮熱」「蒸発冷却」「水分・塩分補給」の3本柱で体温上昇を抑える。
  • 温湿度が危険域に入ったら我慢せず、冷房がある施設に一時避難する判断を優先。
  • 事前に非常用グッズをまとめ、家族・同居者と行動手順を共有しておけば、緊急時でも迷わず動ける。

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